みなさんこんにちは。
旅の話、20回目です。
1週間の旅程を終え、関空へ。
何か食べようということになったのだけど、どこも混雑している。
すぐに座って食べられそうなところがない。
しばらくぶらぶらし、ワインバーのようなところに入ることにした。
店員の若いお兄さんがワインをいろいろ売り込んでくる。
まだ若いのに、違いがよくわかるのだなあ、と感心する。
まあ、ネパール人に歌舞伎を教わる昨今、
若くてもワインを語れるのだ。
わたしはもっぱらビール党なので、ワインはそれほどたしなまない。
しかちくがマックスバリュでよく買うチリワイン「アルパカワイン」を少し飲むくらいである。
そのため、おいしさを語れない。
辛口と甘口の違い、白と赤の違い、それくらいしかわからん。
だからお兄さんが、
「こっちのほうが後味がスッキリします」
とかいうのを、
「ふ~ん、そんなもんかなあ」
くらいで飲んでいた。
たしかにきりっとしたおいしいワインであったが、グラス一杯600円くらいのもの。
一本にするとにすると5千円くらいのものなので、わかるようなわからんような、ふーんそんなもんなのである。
しかし、一本10万円のものを飲ん飲んでたとしても、ふーんそんなもん、としか思わない自信がある。
んなわけあるか、
全然違うし、
と言える人は、ちょっと通ぶってるだけなんじゃないか?と思っていた。
どっちも渋い葡萄の酒である。
渋さの違いみたいなもんじゃないのか、と思っていた。
ところが。
家に帰ってきて、いつもの一本600円のアルパカワインを飲むと。
「違う!」
と思わずふたりで顔を見合わせた。
「まったく違う!」
安ワインは渋くないのである。
なんかゆるい味に思える。
後味スッキリがない。
びっくりした。
一本5千円と10万円の違いはわからないと断言できる。
しかし一方、一本5千円と600円の違いは、これはもう明らかに違うと断言できる。
ひょっとすると、ガクトさんなど高いワインの違いがわかる人は、そういう感じで5千円と10万円の違いがわかるのかもしれん。
ということは、わたしもガクト並みの舌と言っていいのかもな。(あかんわあ)
しかちくは、
「いつもアルパカで十分だったのに、あのワインを飲んでしまったらアルパカじゃ満足できない。これは不幸や」
と嘆いていた。
たしかにそのとおり。
知ってしまった不幸といえる。
世の中には知らないほうがいいこともあるのかもしれんと思った出来事だった。
あれから1か月。
不思議なことに今ではアルパカの味もこれはこれでいいもんだと、それほど気にならなくなった。
不幸な境遇も慣れたらそれほど不幸と思わなくなるのかもしれんと思った出来事だった。
つづく
それでは~
とりぶう