(271)
この間、部屋にデカゴキブリがあらわれました。
本州ではまずお目にかかれないような、てかてかと光り輝く特大サイズ。
しかちくは退治しようと張り切って、わたしのスリッパを持ってきます。
こんなとき、自分のスリッパをもってこない男、しかちく。
彼は慎重に構え、
「このタンスのすき間に入ったら最悪やからな。」
といい大きく手を振り上げて、ばしんとたたきました。
「ああっ、最悪!」
ゴキブリはスリッパにかすりもせず、ふてぶてしくタンスのすき間に入って行きました。
次の日、またデカゴキは現れました。
今度はクーラーの横です。
しかちくはリベンジとばかりに、わたしのスリッパを持ってきて、
「このクーラーに逃げ込んだら最悪やからな。」
といいながら、イスに乗って構えようとした時点で、
「ああ~っ、最悪!」
という事態になってしまいました。
おいおいおいおい、あんたはミスター最悪か!情けないなあ。
「あのな、ゴキブリ退治にはコツがあんねん。
あんまり手を大きく振り上げすぎたら、その空気の動きでゴキは逃げんねん。
だから、あくまでも『なんもせえへんで』ていう顔をして、ばしんとやんねん。
振り上げるんじゃなくて、押し付ける感じで・・・。」
わたしはプロとしての心得をとうとうと説きました。
(いつのまにプロ?)
「もう、ゴキブリはとりぶうにまかせる。」
ミスター最悪はわたしの話を聞き終わらないうちに、ゴキブリのようなふてぶてしさで言います。
あれまあ、子どもっぽい。
しかし、まかされたら案外がんばる女、とりぶう。
「よっしゃ、まかせとき!まあ見ててみい。
ゴキもあたしにかかったら一発やからな!うはははは!」
と大いに自慢して胸をたたいたのでした。
(どっちが子どもっぽいねん!)
わたしは子供の頃からやたらと大口をたたくクセがあります。
兄、姉、妹にはさまれて、あまり期待もかけられずに育ったので、期待されると燃えるのです。
さあ、どっからでもかかってこい、デカゴキ!
この部屋のなかにとりぶうさまといっしょにいるということは、もう死んだも同然。
あんたもそこまで大きくなったんだったら、もう思い残すことはないはず。
わたしはデカゴキとの対決に胸を躍らせていました。
そして、対決はその夜にやってきたのです。つづく。
この間、部屋にデカゴキブリがあらわれました。
本州ではまずお目にかかれないような、てかてかと光り輝く特大サイズ。
しかちくは退治しようと張り切って、わたしのスリッパを持ってきます。
こんなとき、自分のスリッパをもってこない男、しかちく。
彼は慎重に構え、
「このタンスのすき間に入ったら最悪やからな。」
といい大きく手を振り上げて、ばしんとたたきました。
「ああっ、最悪!」
ゴキブリはスリッパにかすりもせず、ふてぶてしくタンスのすき間に入って行きました。
次の日、またデカゴキは現れました。
今度はクーラーの横です。
しかちくはリベンジとばかりに、わたしのスリッパを持ってきて、
「このクーラーに逃げ込んだら最悪やからな。」
といいながら、イスに乗って構えようとした時点で、
「ああ~っ、最悪!」
という事態になってしまいました。
おいおいおいおい、あんたはミスター最悪か!情けないなあ。
「あのな、ゴキブリ退治にはコツがあんねん。
あんまり手を大きく振り上げすぎたら、その空気の動きでゴキは逃げんねん。
だから、あくまでも『なんもせえへんで』ていう顔をして、ばしんとやんねん。
振り上げるんじゃなくて、押し付ける感じで・・・。」
わたしはプロとしての心得をとうとうと説きました。
(いつのまにプロ?)
「もう、ゴキブリはとりぶうにまかせる。」
ミスター最悪はわたしの話を聞き終わらないうちに、ゴキブリのようなふてぶてしさで言います。
あれまあ、子どもっぽい。
しかし、まかされたら案外がんばる女、とりぶう。
「よっしゃ、まかせとき!まあ見ててみい。
ゴキもあたしにかかったら一発やからな!うはははは!」
と大いに自慢して胸をたたいたのでした。
(どっちが子どもっぽいねん!)
わたしは子供の頃からやたらと大口をたたくクセがあります。
兄、姉、妹にはさまれて、あまり期待もかけられずに育ったので、期待されると燃えるのです。
さあ、どっからでもかかってこい、デカゴキ!
この部屋のなかにとりぶうさまといっしょにいるということは、もう死んだも同然。
あんたもそこまで大きくなったんだったら、もう思い残すことはないはず。
わたしはデカゴキとの対決に胸を躍らせていました。
そして、対決はその夜にやってきたのです。つづく。